働き方

歯科衛生士の担当制で受診継続率アップ?


歯科衛生士のみなさんこんにちは!
早速ですが、みなさんが務める歯科医院は担当制ですか?

歯科受診患者さんの受診継続率を上げることは、患者さんの口腔内の健康維持、歯周病の予防、全身疾患の予防、歯科医院の運営のためにも大切なことです。

継続的な受診をしてもらうためには、歯科医院としての満足度が高いことが求められます。
しかし、どうしたら患者さんの満足度を高めることができるのでしょうか?

今回はそんな疑問に、歯科衛生士の担当制の観点からお答えしていきます。

歯科衛生士担当制と非担当制の満足度の違い

あなたの医院では歯科衛生士ごとに担当患者を決めているでしょうか?

担当までは決めていないところも多いと思います。
担当制にすることのメリットの1つは、継続的に関わることができて、患者さんからの信頼も獲得できることにあると思います。

しかし、非担当制であったとしても丁寧な対応は患者さんの信頼獲得にもつながります

では患者さんを担当制にすることで満足度は変わってくるのでしょうか?

実際に担当制の患者さん60名と非担当制の患者さん60名を対象に行われた研究があります。
この研究では、担当制であろうと非担当制であろうと、患者さんの満足とは高かったことが示されています。

しかし担当制の患者さんの方が、歯科衛生士の傾聴に対する満足度が高かったことが示されています。
同じ患者さんと接することにより、相手とのコミュニケーションが深まって、信頼関係の深まりとともに満足度も上がってくのではないかと考えられています。

コミュニケーションがとりやすく、信頼関係が深まることによって、患者さんの要望が伝えやすくなります。

施術中の痛みや不快感を我慢せずに伝えるためには、ある程度の信頼関係があった方が伝えやすいです。担当制では、患者さんとの信頼関係を深めやすいからこそ、患者さんも要望を伝えやすく、歯科衛生士も患者さんごとの要望に合わせやすくなるため、自然と満足度は高まっていくことになります。

歯科衛生士担当制は受診継続につながる?

患者さんの多くは、歯科受診を継続したいと考えています。
その理由は、「歯周病予防」「歯を守りたいから」「う歯予防」などの理由が挙げられます。

では担当制は受診継続に役立つのでしょうか?患者さんの受診継続の理由の中で、「頼れる歯科衛生士がいるから」と答えた人は、非担当制の患者さんと比べても非常に多かった事がわかっています。

かかりつけの歯科医を持つことが推奨されていますが、継続的に受診をしてもらうためには、歯科衛生士が同じ患者さんと継続的に関わっていくことも重要であるといえます。

そして担当制の患者さんの場合は、歯科衛生士はいつも同じ人良いと答えた人が80%以上であり、非担当制の患者さんの中でも30%の人が歯科衛生士は担当制が良いと答えています。

まとめ

患者さんの満足度を高めるための方法について、歯科衛生士担当制と非担当制の違いから見てみました。
担当制を採用しているところは少ないかもしれませんし、マンパワーの観点からも難しい事があるかもしれません。

大事なことは、いかに患者さんとの信頼関係を築き、「この人がいるから、また来よう!」と思ってもらえるかどうかです。
この患者さんは私の担当!と思って日々の仕事を捉えてみると、歯科医院としての満足度もどんどん高まっていくことにつながっていくはずです。

参考文献

・柴田幸代、野村正子:歯科診療所における歯科衛生士担当制患者と非担当制患者の満足度と定期歯科受診に関する検討  日本口腔保健学雑誌 第 10 巻 第 1 号:42-48(2020)
・松尾 文:歯科診療所における患者の歯科医療従事者に対 する信頼感と定期歯科受診行動との関連性,日本衛生学雑誌,9巻1号: 32-40,2014.